僕はずっと、自分の苗字「徐」の英語表記である「Hsu」が好きではなかった。
同じ「徐」でも、地域によって表記がまるで違う。
- 台湾では「Hsu」
- 中国大陸では「Xu」
- 香港では「Tsui」
- 東南アジアでは、家系や方言から受け継がれた「See」「Chee」「Chui」「Choi」など、さまざまな表記がある
統一感がない。ポケモンがかつて三つの地域で三つの名前に分かれていたのと同じで、それぞれが好き勝手にやっている。
自分の名前でパーソナルブランドを築こうとしたとき、僕は悩んだ。台湾だけを相手にするなら問題ない。でも、もっと国際的に活動したいと思っても、台湾以外の中国語話者には「Hsu」が何なのか伝わらない。英語ネイティブには、読み方すらわからない。
このローマ字表記を考えた人は、明らかにユーザーテストをしていない。そもそもローマ字表記とは、海外で外国人に自分の名前を伝えるためのものではないのか?
僕はよく思った。自分の苗字は、どう綴っても、なぜこんなに発音しにくいのだろう?
簡単な苗字の人がうらやましかった。
アジア人の名前を冠した有名な国際ブランドは、どれも発音しやすい気がする。
たとえば「Alexander Wang」。シンプルで、読みやすい。自分の名前をそのままファッションブランドにできるのも納得だ。
「Jimmy Choo」もそうだ。「Choo」でさえ「Hsu」より読みやすいし、響きもちょっとかわいい。
では、ブランド名が「Alex Hsu」だったら?
海外では、店員でさえ正しく発音できないかもしれない。
とはいえ、僕はまだ恵まれている。Facebookで働いていたころ、古い非標準のローマ字表記を英語名に使っている台湾人の同僚がいた。その名は「**** Yauer」。彼も僕と同じように悩んでいたかは知らない。でも、新しい同僚が彼の名前を読もうとするたび、僕までハラハラした。
結局、グループチャットでは、みんな漢語拼音表記の「Yao」と呼んでいた。
英語ネイティブに「Hsu」の発音を教えるのは、至難の業だ。「Huh-soo」や「Hah-soo」、さらには「Shhhhh」と呼ばれたこともある。そんな気まずさを避けるため、僕はいつも先にこう伝えている。本当は中国語の「徐」と発音するけれど、もう「Shoe」と呼んでくれればいい、と。
「僕はShoe。Alex Shoeです」
相手が簡単に発音できるように、自分を一足の靴にしてしまう。ちょっと悲しくないだろうか?(笑)
アメリカで10年、日本で2年暮らし、その間、自己紹介をするたびに同じ問題にぶつかってきた。そんな僕が数年前、憧れのDerek Siversの著書『Hell Yeah or No』に収録された、ある文章を読んだ。彼によれば、大きな決断をするときには、三つの要素を考えるべきだという。
- HAPPY:自分を幸せにするものは何か?
- SMART:賢く、長い目で見て自分のためになるものは何か?
- USEFUL:人の役に立つものは何か?
この三つがそろえば、幸せな人生を送れる。満たされないと感じるのは、たいていどれか一つが欠けているからだ。
そして、そのブログ記事のURLスラッグが/hsuだった!
その瞬間、ずっと嫌いだった自分の英語表記が救われた。
今でも外国人に自己紹介するときは「Shoe」だ。
でも「Alex Hsu」の「Hsu」は、「Happy, Smart, and Useful」という意味だ。
