ぼくの最初の本『人生也是一個遊戲』が、今週の土曜に台湾の主要な書店で発売される。
初版は1100部。
だからこの数ヶ月、ぼくはずっとひとつのことを考えていた。
無名の新人作家が、どうやって1000冊の本を売るのか。
まだわからない。しかも今のところ、まだ何もしていない!
これからの数ヶ月、自分で試してみようと思う。ついでに、その過程と試した方法を、全部書き残していく。
始める前に、この一年で整理できた「わかっていること」を並べておきたい。
わかっていること1:出版社が出せるリソースは限られている
もちろん出版社も本を売るのを手伝ってくれる。
でも彼らはどちらかというとベンチャーキャピタルに近い。スタートアップに投資するみたいに、たくさんの本に同時に賭けて、一冊でも売れれば元が取れる。
ぼくの出版社は、同じ時期にたくさんの本を出す。ベストセラー作家もいるし、もともと何十万人ものフォロワーがいる人もいるし、見るからにぼくより市場が大きいテーマもある。
ぼくの本は、彼らが同時に打っている小さな賭けのひとつにすぎない。
なんの実績もない新人作家として、この1000冊を売るために出版社がもっとリソースを注いでくれるなんて期待できない。リソースがあるなら、彼らはもっと実力のある作家に賭けるに決まっている。
彼らは彼らにできることをやる。たとえば博客来や誠品みたいな流通に本を並べてもらったり、本の情報をいくつかのメディアに送ったり。
そして残りは、本を売ることも含めて、全部自分でなんとかするしかない。
わかっていること2:本を売っても儲からない
ぼくの本は定価420元(台湾ドル)、印税8%、初版1100部だ。(5000冊売れたら12%に上がるけど、それはいったん無視していい。)
初版で稼げる金額は、実はすごく簡単に計算できる。
420 × 8% × 1100 = 36,960元。
つまり、初版が全部売り切れても、ぼくの原稿料は4万元に届かない。
出版社は初版の印税を前払いしてくれるから、売れ残っても初版分の印税は全部もらえる。それでも、台湾で本を売ることに、ぼくにはお金の面ではほとんど動機がない。
この本にかけたお金(イラスト、自費で頼んだ編集者など)は、もう7万元を超えている。少なくとも二刷が売り切れないと元は取れない。
正直に言えば、初版を売り切りたいというのは、ただのエゴだ。それに、ぼくを信じてくれた出版社のために力を尽くしたい、という気持ちもある。
一年かけて、自分でもかなり役に立つと思う本を書いた。だからもちろん、できるだけ多くの人に読んでほしい。それに、1000はとてもきれいな数字なんだ。
でも、伝統的な出版で作家に入る薄い取り分が、この先どうやって本を売るかを間接的に決めてしまう。
台湾では、お金を払って広告で読者を獲得することはできない。一冊売っても33.6元(420元の8%)しか入らないから、広告に100元使って一冊売れても、まだ66.4元の赤字だ。だから、お金をかけない、あるいはコストがとても低い方法でなんとか広めるしかない。
もうひとつ。この件で、英語版と日本語版は自分で独立して出すしかない、とますます確信した。そうすればもっと大きな取り分がもらえるし、価格やマーケティングの自由も増える。
わかっていること3:ぼくは飽きっぽい。同じ本をずっと売り続けられない
同じ本を何年もかけて売れる作家はたくさんいる。
ぼくには絶対に無理だ。
ADHDのぼくは、この本を書いている間だけでも、数え切れないほど新しい穴を掘ってしまった。今も頭の中には書きたい本が五、六冊あるし、ほかに試してみたいこともある。
どうやってあと数冊多く売るかを長い時間かけて研究するくらいなら、その時間で次の本を書きたい、というのが正直なところだ。
だからこの本をずっと売り続けるつもりはないし、永遠に続けなきゃいけないマーケティング戦略も設計したくない。
毎日休みなく「早くぼくの本を買って」と叫び続けなきゃいけないなら、その戦略はきっとぼくには向いていない。
今のところ、自分に三ヶ月という期限を切っている。今年の年末まで。この三ヶ月は本気で遊んで、そのあとは別のことで遊びに行く。
つまりぼくのマーケティングは、「あとに残る」ことに使うのがいちばんいい。ブログを書いたり、YouTubeを撮ったり、ポッドキャストに出たり。三ヶ月後にぼくが本を積極的に押さなくなっても、それらはずっと誰かに見つけてもらえる可能性がある。
わかっていること4:ほとんどの本は成功しない
出版業界は、ぼくが最初に想像していたよりずっと競争が激しい。
毎年、心理・自己啓発の新刊だけでも何千冊もあって、そこには海外のベストセラーも含まれる。その中から抜け出すのは、本当にむずかしい。
どの書店も、置ける場所は限られている。本が発売されて何も動きがなければ、あっという間に次の新刊に入れ替えられる。誠品書店の中のランキングを見に行けば、売れているのはいつも同じ数冊だと気づくはずだ。目立つ場所に置かれた新刊以外、棚の奥に移されたり出版社の倉庫に戻されたりした本は、もう二度と見つけてもらいにくい。
しかもAI時代には、実用書はもっと売れにくい。人は困ったとき、AIに聞けば個人向けの答えがすぐ手に入る。なんでわざわざ長い本を買うんだ。そんな暇があるなら、YouTubeでも見たほうがいい。
だから、一年かけて自分ではいいと思う本を書いたからといって、それがよく売れて当然だ、なんて前提を置きたくない。
ぼくの行動の基準は、こうあるべきだと思う。
時代はもう違う。この本はたぶん売れない。その中で、ぼくにできることは何か。
確率で見れば、売れないほうが普通なんだ。できることは全部やる。でも、いろんな方法を試したうえで、それでも売り切れなかったら、そのときはmove onして、次の本を書くしかない。
ぼくはたくさんの本を書きたい。だからこの一冊の結果は、大きく見ればとても大事だし、同時にそれほど大事でもない。
もしこれが人生で唯一の本なら、持ち駒を全部賭けるかもしれない。でも、この先まだ五冊、十冊と書くなら、これはただの一回目だ。
初めて本を書く。初めて出版する。初めて本を売る。
少しくらい失敗しても、それが普通だ。ぼくにとってこれは、絶対に勝たなきゃいけない戦いじゃない。台湾がだめでも、英語版や日本語版、あるいは次の本を、まだ試せる。
こうして「わかっていること」を並べてみると、なかなか悲惨に見える。
ほとんど儲からない本を書いた。
広告は打てない。
同じ本をずっと売る根気はない。
9割の確率で失敗する。
出版社が手伝えることも限られている。
不思議なことに、こう並べたら、ぼくはかえって不安じゃなくなった。
そのぶん、ずいぶんはっきりしたからだ。こういう条件の下でも、まだ試せることはたくさんある。
続きは、これから少しずつ分かち合っていく。
