最近、「ゲームマインドセット」についての本を書こうと思っている。独立出版について調べはじめたら、思いがけず、一番向き合いたくなかった問題にぶつかった。SNSを使うべきかどうかだ。
「1000人の真のファン」という考え方を書いたKevin Kellyは、最近の独立出版ガイドで、今の出版社はだいたい二つのことを聞くと書いている。
- この本は何についての本か?
- あなたには何人のフォロワーがいるか?
大事なのは二つ目だ。読者がいない本には、出版社も手を出さない。あなたの読者を借りて本を売る必要があるからだ。
Kevin Kellyほど有名な人でさえ、新しい本を売るために、いろいろな方法を使わなければならない。
考えてみれば当然かもしれない。ベストセラーのランキングを見ればわかる。
- James Clear『Atomic Habits』:出版前に6年間ニュースレターを書き、購読者は数百万人
- Ali Abdaal『Feel-Good Productivity』:YouTubeの登録者500万人
- Sahil Bloom『The 5 Types of Wealth』:ニュースレターの購読者80万人
- Anne-Laure Le Cunff『Tiny Experiments』:ニュースレターの購読者8万人
売れている作家の多くは、すでに有名なYouTuberやポッドキャスター、インフルエンサーだ。
本を出したから有名になったんじゃない。有名だから本を出せた。
現代の作家の仕事リスト
昔の作家:書く → 投稿する → 出版する → 完成
今の作家:ブログを書く、TwitterやThreadsに投稿する、ニュースレターを運営する、ポッドキャストに出る(または自分で配信する)、YouTube動画を作る、コメントに返信する、SEOを研究する、数字を追う、人脈を作る……そして最後に、ようやく本を書く。
この仕事リストを見てほしい。ベストセラー作家になりたければ、まずフルタイムのインフルエンサーにならなければならない。
本を書くことは最後の一歩になる。出発点ではなく、ゴールだ。読者を集め終えたあとの収穫作業になる。
これはプロダクト作りとよく似ている。いいプロダクトを作るのは最初の一歩にすぎない。大事なのは、どう売るかだ。読者がいれば、本は自然に売れる。読者がいなければ? 書店の片隅か、Amazonのデータの海に埋もれるだけだ。
もちろん、先に本を書くことにこだわってもいい。でもSNSを運営しなければ見つけてもらえないし、パーソナルブランドを作らなければ、誰もあなたの本を気にしない。世の中には、こんなにたくさんの本がある。読者が貴重な時間を使って、あなたの本を読む理由は何だろう。現実はそれくらい厳しい。
もっと厳しいこともある。本はほとんど儲からない。単価が低いだけじゃない。書店と出版社に取り分を引かれたら、手元に残るのはわずかだ。YouTubeの広告収入、スポンサー案件、講座の販売、会員費。こちらが本当の収入源になる。本は名刺にすぎない。資産になるのは読者だ。
結局、本は道具のひとつにすぎない。大切なのは、自分の読者を持つことだ。
自分で刷って配るだけじゃなく、本当に売れる本を書きたいなら、やっぱりSNSを使いはじめる必要があるらしい。
SNSを使わず、楽しく書くだけではだめ?
ぼくはSNSを削除してから三年になる。
世界最大のSNS企業を辞めたあと、前の勤務先が運営するFacebook、Instagram、Messengerを削除した。アルゴリズムが人の心を操り、苛立たせるところを見てきた。もううんざりだった。
この三年間は静かだった。フィードも通知の赤い丸もない。人と比べることもない。
もともとは隠者になって、自分のために小さな本を書くだけでいいと思っていた。ぼくのAppだって、SNSを一切使わずに100万ダウンロードを達成した。
でも、Paul Millerdの『The Pathless Path』にある言葉で目が覚めた。
“Writing is an act of ego, and you might as well admit it.”
書くことはエゴの表れだ。だったら、そう認めてしまえばいい。
そのとおりだ。
ぼくは自分のアイデアをすばらしいと思っている。読者が欲しい。共感してほしい。自分が書いたものが役に立つのか知りたい。
誰かがぼくの記事をシェアしてくれたら、こっそり小躍りする。でも自分ではシェアする力を持たず、主導権を全部ほかの人に渡している。
ぼくが一番尊敬するDerek Siversでさえ、嫌いなAmazonで本を売っている。
ぼくだけが、このゲームに参加しなくていいと思う理由なんてあるだろうか。
現代の作家になる
本を書くと決めたのなら、見つけてほしいと思っていることも認めよう。
これはエゴだ。隠すことじゃない。
見つけてほしい作家は、城に隠れて書いているだけではいけない。
どれだけうるさくても、広場へ行って売り込まなければならない。
これが、今の時代に作家になるための代償だ。
だから、ぼくは堕落した。
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もう心がざわつくのを感じている。
成功するとも、何かが変わるとも限らない。でも、少なくともTRYしなければならない。
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