二人のコレクターがいる。

一人目のコレクターは、好きな絵をすべて手に入れたい。少しでも気に入ると、つい買いたくなってしまう。もっとお金があれば、もっと大きな家があれば、もっと集められるのに、といつも思っている。

絵を一枚気に入ると、彼はそれを家に飾って、毎日その前を通るときに足を止めて眺めるところを想像する。そう考えるだけで、うれしくなる。買うまでは、毎日そわそわして落ち着かない。

実際に買ってみると、うれしさは思ったほど続かない。すぐに慣れてしまう。

毎日その前を通るときも、もう足を止めない。

そして、また次の絵を探しはじめる。

家の壁はとっくに埋まっているから、新しい壁が必要になる。新しい壁も埋まって、掛けきれない絵は倉庫にしまうしかない。一度も壁に掛けられなかった絵もある。


二人目のコレクターも絵が好きだ。でも彼は知っている。集める価値のある絵に、終わりはない。一枚増えるたびに、一枚一枚にかけられる時間が少しずつ減っていく。

だから、どれだけお金があっても、どれだけ大きな家があっても、壁に掛けるのは一度に一枚だけだ。一枚の絵を長いあいだ掛けてから、次の一枚に替える。

毎日その前を通るときに、彼は足を止めて眺める。そのたびに、前には気づかなかった何かを見つける。

ときどき、買わなかった一枚の絵を思い出して、少し後悔する。

彼はそれを家に飾って、毎日その前を通るときに足を止めて眺めるところを想像する。

いまの彼と、同じように。